遅ればせながら文学フリマ戦利品感想大会その1
私「ドラえも~ん、舞台の行き過ぎでお金がないよ~」
脳内ドラえもん「ドラえもんは現実には存在しないよ。あとポスター見てすぐ舞台のチケット買う癖を何とかしなさい」
中毒性の高い青い鳥「11月23日文学フリマ東京やるで」
私「うーん……(財布の中身を見る)」
私「……」
私「行くか……」
そんな感じで去る11月23日火曜日(祝)に行われた文学フリマ東京になけなしの1万円を手にして行って来たので、入手した戦利品について、つらつらと書きたいと思います。今更とか言わない。
ちなみに、1万円と言いましたが財布に入れていたはずの5000円札が帰るときに消えていたので、総額は1万円以上です。正直身に覚えしかない。「この列のここからここまで1部ずつください」と言える財力と「今日はこれだけしか使わないぞ」と決めたらそれを守れるだけの固い意志がほしい。
↓行ってきたことの証拠写真
↓前回の文学フリマの戦利品紹介はこちら
※作品のネタバレがあります。
※作品名・サークル名に誤り・問題があった場合はコメントにてご連絡ください。
※順不同です。
- Blue Three 様「Blue Three」
- 生え際 様「生え際」
- メゾン文芸部 様「HELP!」
- 里見透 様「のっぺらぼうと雨宿りの牙卵」
- 『Alt+ 』様「『Alt + 』コンクリートジャングルの原住民」
- マンドラゴラ農場 様「ケサランパサランの秘密」
- 原石かんな 様「売春 復刻ライト版」
- un-nun 様「云々 2021春」
- 新月お茶の会 様「月猫通り 2174号」
- 深海のルーチェ 様「さよならてんごく」
Blue Three 様「Blue Three」
青をテーマにした3つの短編を収録。香港から来たゲイの男との、奇妙な3日間を描いた越智千紘様「Blue Three Days」が印象に残った。ちょっとした可笑しさとシリアスな空気が同居する感じが心地よい。文字色が綺麗な青色をしている装丁も素晴らしい。
生え際 様「生え際」
平野裕大様「竜の墓」がとても好きです。普通の日常の近くにドラゴンという架空の生物がいる雰囲気が最高。売れているとは思えないのに百貨店に存在する不思議な店、秘匿にされた契約というのがロマンがあって面白い。
メゾン文芸部 様「HELP!」
四編ともにそれぞれ面白くて好きです。烏丸沖名様「すき焼きが神になった日」何でもないものから宗教を生み出す過程というのがユーモラスに語られる。すき焼きに聖人や宗派が生まれていくのが面白い。また、原ヶ井袋様「下山反省文二〇二一」は、たまに知り合いに誘われて登山に行くので他人事に思えず、自分も気を付けようという気持ちになれた。
里見透 様「のっぺらぼうと雨宿りの牙卵」
性癖歪みそう。もう歪んだ。最高に好きです。実はすごい力を持つけれど理由あってそれを厭う法師と、頭脳戦では敵なしの死者のコンビが繰り広げる冒険譚。表紙がめちゃくちゃ好きで1日3回は拝まないと生きていけない体になってしまったのですがどうしよう。続編楽しみにしています。カバーを取ると地図が現れる装丁も好き。
『Alt+ 』様「『Alt + 』コンクリートジャングルの原住民」
倫理観の欠けた物語、道徳的な価値観からかけ離れた人物が登場する物語が好きだったりします。タイトルと著者名の伏せられた掌編はそんなどこか変わった男の一人称語り。語られる内容に背筋を震わせながらも目を離せない面白さがあった。また、餅巾着様「三〇周年の女」はタトゥーという社会ではどことなく忌避されがちな風習を見に受ける覚悟や強さと、何かにすがらなければ生きていけない人の弱さが見え隠れしてとても好きなエッセイである。
マンドラゴラ農場 様「ケサランパサランの秘密」
この本を読むまでずっとケセランパサランだと思っていた。謎めいた正体に加えて育て方まで書いてあるのが面白い。大事に育てて、願い事が叶ったら消えちゃうというのが儚くてよいですね。
原石かんな 様「売春 復刻ライト版」
同性愛と他人との交わりについて描く2編を収録。叶わない恋心と行き場のない悲しみや孤独、閉塞感が余韻に残る。
un-nun 様「云々 2021春」
特集「見た目について思うこと」。藤村様の「写真を撮られたくない理由」という漫画が気になって購入。私も自分の写真を撮るのが苦手で、自撮りをする人はどういう気持ちなんだろうと常々考えている。自分も無意識に他人を評価し、そして他人から自分の評価に怯えているのだろうなと思いました。克服するにはまだまだ時間がかかりそうですね……。
新月お茶の会 様「月猫通り 2174号」
特集が「残酷耽美不条理喜劇」とのことで、七つの作品についてレビューを掲載。読んだことのない「感応グラン=ギニョル」や「舌の上の君」は非常に興味をそそられた。また、小説はどれもトリックが工夫されたミステリで面白かった。
深海のルーチェ 様「さよならてんごく」
冒頭の「どうか無事であれと泣いた京王線。/地獄へおき去りにしたあなたへ。」という言葉が何度でも唱えたくなるほど好き。死と痛みがテーマな掌編は、行き場のない悲しみや痛みを読者に残す、強さと脆さを感じる。
今日はここまで! 読んでいない薄くない薄い本の山がまだあるのでもう少し続きます。目標は年内にすべて読み終えること!