何かに狂ってる

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第31回文学フリマの戦利品の感想記録~その1~

こんにちは。秋見鳥です。

 

去る11月22日日曜日、文学フリマ東京というイベントが行われました。

bunfree.net

 

私は一般参加で訪れアホみたいに同人誌を買い、トートバッグをアホみたいに膨らませて帰ってきました。

いやー最高だった。行ってよかった。遠方は感染拡大の観点からさすがに遠慮するけれど近場なら次も絶対行く。そのために今からお小遣い貯める。

今回は第31回文学フリマ東京で手に入れた同人誌のうち、読み終わったものについて感想を記していきたいと思います。

Twitterのほうがいいのかなと思ったけれどまとめて書きたかったのでこちらで……)

 
※作品のネタバレがあります。
※作品名・サークル名は奥書を参考に細心の注意を持って記載していますが、万が一誤り・問題があった場合はコメントにてご連絡ください。基本[サークル名(記載がない場合は作者名)「タイトル」]と記載しています。
※順不同です。

 

 

島坂準一 様 「島坂準一の短歌」

何気ない、決して華やかではない日常を泥臭く切り取るかのような短歌。私はエンターキーの歌が一番好き。確かに一番大きくて威張って見える。

 

水玉カエル 様・ハム丼 様・桂千草 様「つぎはぎ 4」

リレー小説というだけでも面白いのに作者のコメントが入っているのが最高に面白い。意図をもって書いた箇所が他の人に伝わらなかったり、前の人の突飛な展開に唖然としたり、すごく痛快だった。普段なら読み飛ばしそうな箇所に著者がどんな意味をこめたかわかる場所もあり、参考になった。

 

 三日月喫茶 様「夢見鳥」

見本を手に取った時に、冒頭の言葉が印象的で手に取った一冊。「ヒペリカム」は優しい物語。タイトルは花の名前で、花言葉は「悲しみは続かない」という意味だそうですね。主人公の少女の悲しみは、この物語の中で乗り越えられた。新たに生まれた悲しみも、前を向いて生きて行くんだろうなということを確信させますね。終わりの短編「人形屋【残夢】」は打って変わった狂気と偏愛の物語。最後の一言で魔法が解け夢から覚めたような余韻がよかったです。

 

田舎のくまさん 様「はにかむ。vol. 0  特集 買い物」 

広い広い同人誌即売会でアホみたいに同人誌を買っている中で、目に留まった「買い物」というテーマ。私はいつも買い物でストレス発散してしまうような側面があるので何かそれを克服して冷静に買い物をするヒントがあるかもしれない!と思って手に取った一冊。フリーペーパーのような自由な内容で非常に面白かった。エッセイにはどの文章にも共感。手土産の記事は高級な商品レビューといった感じで買ってみたくなった。買い物癖をなんとかなりそうにないけれど前より自信を持って浪費できるような気がする。

 

lotto140 様「異類草子」

人ではない異類が登場する短編集。ホラーではないが奇妙な世界といった様子で、時に背筋がぞっとする瞬間もあった。一番印象に残ったのは「小鬼のはなし」日常と地続きな感じがこんな生活もあるのではと思わせる。

 

某高校編集部 様「もし『走れメロス』のメロスが100人いたら」

メロスが100人ってクソデカ羅生門みたいなパロディかと思いきや、高校の教師退職の裏にある陰謀の話が見え隠れしたあたりから話が変わってくる。かと思いきや……メロス一人一人の設定が凝っていてそれだけでも面白い。高校生たちが協力して不正を暴こうというストーリー、好きです

 

某高校編集部 様「もし『山月記』の李徴が百匹いたら」

山月記×ブレードランナー×1984年。叢から100匹の虎が話しかけて来るのをイメージしていたらSFが始まって驚いた。どのリチョウもジャンルは違えど作家であるというのがよい。視点や語り手が変わったり、断章が挟まれて少しずつ世界観が見えてくるのがよい。

 

イケウチアツシ 様「140字小説集 四つの数字」

140字の短編集。どことなく優しい物語で余韻が素晴らしい。手を取る話を「恋」と名付けるその言葉の選び方が美しい。

 

LG(花) 様「LG 2020 NOV vol.6」

「郵便受けに花束が入っている」という情景をテーマにした短編を収録。装丁にも凝っていて、花束が取れたので驚いた。どことなくダークでおどろおどろしい話や、ぞっとする話が多かったけれど、非常に引き付けられた。個人的に印象に残ったのはかすとり様「群生」の話とミス・アルジャーノン、善之新様「あなたにバラの花束を」、石田金時様「名探偵アルティメット桃太郎」の三編。花束の包み紙は開いて……ないです。本当ですよ? 本当に開いてませんよ?

 

古賀及子様「ごめん、あれやっぱパンだった まばたきをする体の2020年2月から7月」

家族三人の淡々としているようで毎日少しずつ違う日常が生き生きと書かれていて、一緒に生活しているようで面白かった。文章の運びに一定の型があってブレが少ないから読みやすいのかもしれない。ご飯の描写が毎日記してあるのが生活感があり、私もこんな風に時に力を入れて作ったり、時に手抜きをしたりしながら生活したいと思った。

 

河村塔王/ICU* 様「alea iacta est.」

単語帳のような形のゲームブック。地の文が挑発的で、考えながら何度でも読み返した。何度か本文でも語られているが、選択肢が本当に提示されているのか、私たちは本当に物語を選択しているのか、選ばされているだけではないかと言ったことを考えさせられた。何よりゲームブックとしてストーリーが純粋に面白い。フォントも特徴的で世界観の形成に一役買っている。

 

文芸風前会 様「人に一癖」

性癖がテーマ……? いったいどんな性癖が暴露されているんだ!と思い気になって手に取った一冊。どんな性癖か探ったり意外なテーマに驚かされたりするのが面白かった。中でもぞっとして一番気に入ってしまったのがキタイハズレ様「愛玩人形」。異常な性癖とも言える男の立場と女の立場が入れ替わる瞬間がどうにも小気味よく、変態的とも言えるのに目が離せない。

 

疲れたので今日はこの辺までです。これで3分の1くらいかな……。読み終わり次第ぼそぼそと書いていくつもりです。