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静かの海に水は無く 「ミュージカル『刀剣乱舞』~ 静かの海のパライソ~」感想

「ミュージカル『刀剣乱舞』~ 静かの海のパライソ~」を観てきました。

 

musical-toukenranbu.jp

 

見ちゃった……

 

見ちゃった…………

 

見る前には戻れないとはこのことだなあと。

地獄ということは聞いていたので心構えはしっかりと、遠藤周作の「沈黙」も読んで予習はバッチリ。

 

 

まあ時代が全然違ったんですけど!

体感長篠の合戦大坂冬の陣くらい違った。正確なところは知らない。島原の乱の簡易的な解説本読みたい。

ただ、舞台全体を通して、教科書的なステレオタイプな描き方ではなく、時代考証がとてもしっかりしてるなという印象を素人ながら持ちました。

 

1部が終わってこの下書きを作り始めた段階ではもう情緒がぐっちゃぐっちゃで感情を言葉に出来ませんでしたが、第2部のライブのおかげで落ち着いてきたのでしたためて供養しようと思います。2部は福利厚生、はっきりわかんだね。でも鶴丸の背中(第3衣装)を見てから帰宅のため電車に乗り込むまでの記憶がちゃんとありません。私は一体何を見たんでしょうか?

 

ここからネタバレ感想。なおあらすじや説明は全くしません(開き直り)。ちょっともう衝撃が大きすぎて情緒不安定気味ですが、今日書かないと一生書かないので(経験談)、ここで文字にしておこうと思います。誤字脱字誤文、うろ覚えの台詞引用等、ご容赦ください。

 

 

 

 

 

 

 

まさか時間遡行軍との戦いが本当に冒頭だけとはな……

 

鶴丸の慟哭が胸に響く作品でしたね……。

我々審神者はゲームという形で、2Dのアニメでしか触れないことに対し「これが戦」と見せつけられたような気がしました。ゲームだから、そういうものだから、とするのではなく、俺たちがやっているのはこういうことだ、お前たちがさせているのはこういうことだ、と訴えられているような。最後の海に向かって叫んだ言葉が余りにも衝撃的すぎて、記憶に留めようとしても留まらなかった。

「3万7000人、救えるか」

ガツンと胸に響いたその感触だけが残る。犠牲者が多くて悲惨だね、凄惨な戦いだったんだね、そんな生温い言葉で片付けるな。3万7000の命、魂を数字にするな。

犯したことの重みを、刀剣男士だけに押し付けるなと。さすがに感情移入しすぎでしょうか?

 

鶴丸国永。賢しい。あまりにも賢しすぎる。

最初の舞のシーンで、あ、堕ちると思った。最初から最後まで完全に彼の手の中でいいように転がされましたね。出陣男士の選出、時代遡行後のアクシデントへの対応、どこかで彼の計算外が起きるんじゃないかと思ってひやひやしていたけれど、その予想は完全に打ち砕かれた。彼は綿密な計画をやり遂げた。これは鶴丸が退屈だ退屈だと言い続けるわけだわ。あまりにも人の動きを読みすぎる。

 

あと鶴丸くんめっちゃいない人の話するね。誰とは言わないけれど、誰とは言わないけれど!

本当に鶴丸が、岡宮来夢がかっこよすぎてもう駄目です。語彙力の喪失。座長ということ、そして今回の舞台の指揮者的な役割だったこともあるとは思うのですが、印象的なシーンをちらほら。

・四郎の遺体に縋る右衛門作に対し「それはもうモノだ」と言い放つ

・浦島と日向に「パライソへ!と言えばいい」と説明しつつパライソが何を意味するかは途中まで説明しない

・「真実なんてどうでもいい。俺は事実しか信じない。真実は捻じ曲げられるから」

・戦をやめようという右衛門作に対し「お前が始めた戦だ、目を背けるな」と声を荒らげる

・伊豆守の前へ現れ「誰かと気持ちを共有したかった」と吐露する

こうして見ると、彼もやりたくてやっているわけではなく、仲間に辛い思いをさせたいわけでもないのがよくわかる。物部に少年を渡すところも優しいんですよね。切り捨てることはできない慈しみ。それでも汚れ仕事を引き受けることに躊躇いや容赦をせず、手段を選ばないというのが、つくづく誰かさんと対比的。どこかでミュ本丸の彼ら2人が任務で相対するところも見れるんですかね?

 

倶利伽羅。彼が鶴丸の後ろについていたから安心して見れた。鶴丸が暴走というか、彼の向かっている先が見られたものじゃないと思った時も、大倶利伽羅鶴丸のすぐ後ろで見守っていたのが、ある種心の支えとなりました。口には出さなくても、誰よりも進んで鶴丸と手を血に染めることを厭わない、厚い信頼が見えました。序盤の、ほかの4振りがまだ事態をよく呑み込めていないところで鶴丸に合わせて旗を振る姿が印象的。あとラストで日向の梅干しを食べるシーンで手袋を外すところに育ちの良さを感じた。言動は荒いのに、性根と育ちの良さがぬぐい切れない大倶利伽羅概念……。

 

松井江。今回唯一の、その合戦に居合わせた刀剣男士。史実は全く把握していかなかったので、舞台で初めて知りました。出てくるたびにラスボスっぽい音楽が鳴ったのも、彼がキーパーソンだからだったんだなあと観終わって思う。血を渇望するのにも関わらず人を斬れないというのが、優しすぎる。無邪気に振る舞う浦島虎徹島原の乱のいきさつを話せないのも優しさなのでしょうね。今回鶴丸に成長させられた刀剣男士。遅くなりましたが初めて左腕はひらひら袖じゃないことに気が付きました。真っ黒い小手のような手袋を付けてたんだね。

 

浦島虎徹、本作の清涼剤。今回は一番損な役回りでしたね……。悲壮な雰囲気漂う中で彼が明るく振る舞うのが辛くて見ていられなかった。それすらも鶴丸に計画されたものと思うと何も言えなくなる。とりあえずおなかが寒そうなので腹巻を支給したい。

 

日向正宗。梅干しは実は好きではないのだけれども、彼が作ったものならどんなにしょっぱくてもすっぱくても食べようと思った。でも今回割と掘り下げが少なかったように思う。ほかが強すぎたというのもある。今後に期待したい。でもラストシーンで平和の象徴となる梅干しを用意できるのは彼だけなので、部隊にはなくてはならない存在。

 

豊前江。彼氏の付喪神。気を抜くとこっちにも堕ちそうになる。大倶利伽羅同様、どっしり構えてくれるので、立っているだけで安心する。

 

静かの海は月の上。風もなく水もなく波もなく、真空なので音もなく、岩石だけが転がっている。鶴丸が「退屈だ」と言いつつも行ってみたいと話したのはどのような心情なのか。まあ三日月宗近の話をしているともとらえられそうだけれど、私はそうではないように思う。争いもなく、妨げもなく安らかな眠りにつけるその場所は、天国なのかもしれない。鶴丸の本音が透けて見えそうですね。

 

それっぽいことを言ってみたところで、今回の感想は終わり!

また何か思いついたら追記します。

ここまで読んでくださりありがとうございました。そして刀ミュは再演してくれて本当にありがとう。

以上です!