何かに狂ってる

独り言ログ置き場です。

刀ステ 无伝 感想

刀ステの時間じゃオラァ!

 

ありがとう刀ステ、本当にありがとう……。5月に行くはずだった公演よりも席が遠くなり、席に着いたら着いたで例によって前の人の頭でステージが遮られ、一体何の受難かと思いましたが、めちゃくちゃ楽しかったです。後ろの席は後ろの席でよかったです。常に舞台全体が見えるため、隅で起きている事象にも目が行く。でもステアラくんやっぱりもうちょっと座席に傾斜はあったほうがいいし、トイレは頑張った方がいいよ。

ネタバレのない感想ですが、皆さんはっきりと「じゅず丸」と発音していたのでさすが役者さんやと思いました。数珠丸はじゅじゅ丸になり、手術中がしゅじゅちゅちゅうになってしまう私のような人間はまだ修行が足りないようです。唸れ拙僧の活舌。

 

以下、ネタバレあり感想です。観劇後あまり推敲しないで生の声のまま残したいと思っているので、取り留めがない駄文が続きます。頑張ってください(責任放棄)。

 

 

いずれ滅びゆく運命をどう描くかに焦点が当てられた物語だったと思います。観る前から話の筋は決まったようなもので、大坂城は燃え落ちるし、真田十勇士は善戦しても刀剣男士に負けるし、徳川の世が続く。それがわかっている中で、落ちる鳥がただ重力の成すがままになるのを描くのか、力なく微かに動く羽先をクローズアップして描くのか。話がわかっているからこそ脚本の運びや演出に惹かれる物語でした。

まあ意表を突いて刀剣男士が負け時間改変がなされる可能性がないとは言えないんですけどねぇ! そういう物語も見たいような見たくないような……でもやっぱり見たくないな。この話はここまで!

 

半年を経て成長した秀頼の描き方はさすがだなと。あの頼りなかった秀頼が前作天伝よりも確かに成長し頼もしくなっている、しかし何が大事なものが見えていない。最後の自刃のシーンはわかっていても鳥肌が立つ。名は言わぬが父の佩刀を高台院に渡して介錯しろってのは、審神者にも高台院にも辛すぎないか。

 

へし切長谷部、今回の主人公枠。鶴丸国永がメインビジュアルで出てたので、前作の一期一振並に活躍するのかと思っていましたが、今回の主人公枠は長谷部でしたね。元主が立ち塞がり圧倒的な強さに敗北を喫す。主人公だ……。あとフリーダム天然な五振りに振り回される胃痛枠。胃薬差し入れしたい。

 

三日月宗近、実在したんだな……鈴木拡樹さん(さんでよいのだろうか)のすごさは既に聞き及んではいましたが、「あ、もう顕現してたのか」と納得してしまうほどに老成した佇まい。感服しました。でもなんであのシアターを1人で1周分殺陣やらなあかんかったん……? なぜ三日月宗近は持久走を多めに走らなければならないのだろうか。やはり刀剣乱舞の顔だからか、一体過去にどんな業が……

 

あと高台院様の包容力よ。「宝塚に歌わせるんじゃ!」という気概を感じる謡のシーンも見事。やはり発声が美しい。演技力は評価するのもおこがましい。

 

鶴丸国永は維伝に比べるとおとなしかったけれど、スポットが当たっていない場面でも絶えずちょこまかと動いているのが印象的。 数珠丸様は長い数珠を付けたまま殺陣を普通にこなしていてすごかったです。江雪さんと長髪談義をしているとのことですが確かに大変だよね、数珠様特に毛量多そうだし。お風呂の排水溝にすごく溜まってそう。

 

キャラクターについて、残りは泛塵くんの発声がよかったこととすごく姿勢がよかったです。政府に戻った彼らは一体どうなったのでしょうね。また今回のアイドル枠は阿吽の2振りだと思っているのですが、如何でしょうか?

 

今回一番はっとした場面が、鶴丸が「永遠に戦い続けるかと思うとぞっとする」と話した場面です。刀剣乱舞というゲームはいつまでも続いてほしいがそれは彼らに戦いを強いることを意味する。刀剣男士をキャラクターとして記号化せず、生身の人間として描くのがすごいなと。そしてその答えが「本丸」を通して自我を保つということ。本丸の生活が脈々と続いていくこと、それは正気を保つために必要なことなのだと。そういえばソースは忘れましたが、欧米の国で戦場の兵士たち(捕虜たちだったかもしれない)が存在しない少女が存在するかのように振る舞ったことで、気を狂わせずに戦場から戻ってくることができたという逸話があったような、なかったような。我々審神者は酷なことを強いているものだ。ゲームだからと割り切っていたものが、そうではないと突きつけられるのはなかなか壮絶なものですね。ただ、時間を超えるという戦の性質上、一度潰したとして潰す前の過去から未来への干渉があるかもしれず、戦いが長期化し永劫のものとなるのは仕方がない気がする。やはり人類滅ぼすしかないな。

 

今回面白い演出だなと思ったのが、我々審神者と刀剣男士が帰るべき家、安心の象徴とする「本丸」を真田十勇士たちにあてがったこと、真田十勇士たちが刀剣と同じく鉄でできた、されど純粋に刀ではない武器を持たせたことです。真田十勇士に「本丸へ帰る」と言わせることで、観客に「あれ、真田十勇士も刀剣男士と同じなのか? 敵ではないのか?」と揺らぎを持たせ、観客を翻弄させる演出が上手い。真田十勇士、結局由利鎌之介しか名前を覚えられませんでしたが、あの「こすけ」と呼ばれていた人の演技がすごくよかったです。獄中のはんじんくんとの対話のシーン、そして高台院と共に真田丸に現れるシーン、そのあとのアドリブも見事でした!

 

 「煤けた太陽」というシリーズの中でも印象的なセリフとともに悲伝が陽伝へと変わる最後の演出も相まって、非常に明るく晴れやかな物語となっているのがよかったです。いや起こっているのは非常に壮絶なことなのですが。真田十勇士が折れるシーンと豊臣秀頼高台院の死のシーンはさすがにひえっと鳥肌立ったしな。しかし、「よい物語を見た。これで明日も頑張れる」と思わせるような、スカッとする物語になっていたと思います。それでありながらしっかりと伏線は残していったので次回作も楽しみですね。ありがとう刀ステ、ありがとう刀剣乱舞。さようならステアラくん。

 

たぶん言い足りないことや言葉に出ない感想がまだまだあるような気がしますが、ひとまずここまで! 眠いので薬研藤四郎の太もものことを考えながら寝ようと思います。Twitterで見た「綺麗な太もものために虫刺されを作らないようにしなければならない」というエピソードが頭を離れない。