愛されるは易く、愛するのは難し ~ミュージカル「ヴェラキッカ」感想~
繭期の時間だーーーー!!!!
こんにちは。11月のはじ繭から繭期にドボンしてそのままだらだらと生きている秋見鳥です。
本日はミュージカルヴェラキッカを観て参りましたので感想を書きたいと思います。
A席ほぼ最後列でしたが、椅子は柔らかく見切れもありませんでした。東京建物 Brillia Hallは優秀です。
※ここからネタバレがあります。
※特に説明せずいきなり革新に入るので、未見の方はブラウザバック推奨です。
※あらすじが知りたい? 作品を見よう!
ノラ様の衣装バリエーションめちゃくちゃあって驚いた
最後に大階段(※語弊あり)でメインテーマ踊るやつがあるし実質宝塚。これは間違いない。舞台挨拶のためだけに本編に出てこないキラキラ衣装を作るとは思わないわよ。
喜劇ではなく「奇」劇。「愛」とは何かを冒頭からバチバチに描く。
愛にも色々な種類があるということで屈折していく様は、観ている時は多面的で面白いなと思いましたが、終わって考えてみるといつものTRUMPですね。よかったよかった。最高。私はシオンの「手のひらに収まるほど小さかった初恋が今は大空よりも広い」の歌が好き。
イニシアチブ発動させてるのはノラじゃないよなとは思いましたが、「シオンにはノラの姿が見えていない」というのは気が付かなかった。演技がどうなっていたかもう1回見たい。
ラストは繭期にしては明るく終わるので感動的なのだけれど、「全て幻想だから、結局各々が見たい風景を見てるだけなんだな」と思ったら泣いていいのかわからなくなった。ちょっと繭期歴浅いので共同幻想に対する理解が間違っていたら申し訳ないのだけれど。最後は愛した人と一緒に暮らしました、じゃないんだよ。イイハナシカナー? 完全に蛇足ですが、私がノラだったら屋敷を放火して世界中の人間を無差別に殺して回ります。「愛されたい」なんて言えねえよまじで。
まあでも、幻想の中では確かに美しく高潔で平等で優しい姿を見たいものですね。「養子」という言葉が使われつつも、ノラのことを「母」とは描かないのが気になりました。
後半の陰鬱さを隠すために冒頭はめちゃくちゃ明るく始まるので、TRUMPのテーマ流れるまでTrue of Vampのこと忘れてたわよ。今回はTRUMP説明ノルマなかったですね。ライネスノルマはしっかりあって泣いていいのかわかんねえ。
ノラとシオンが鉄の扉越しに話すシーンでグランギニョルのエンディングが流れるのが1番うわっと驚きました。そうだよな、あれも愛の話だもんな……。家帰ってきてサントラ見て、タイトルが「愛という名の呪い」と知ってもうだめです。ちなみにここまで書いておいてもし記憶違いしていたらコメントにてご指摘ください。
TRUMPは登場せず、クランの物語ではないものの、「永遠とは何か」や「イニシアチブによって得られた感情は本物の感情なのか」など、これまで提起されてきた問題に添いつつ葛藤や衝突が描かれるのがよかったです。
ノラは家族の愛をその身に受けて、それをキャンディへ返そうとした時に、うまく返せなかったと語った(まあそれもノラ本人の言葉かと言われると結局幻想なのでわからないのですが)。無償の愛というものは、受け取るのは簡単だけれども、他人に与えるのは難しい。
TRUMP作品はいつも観た後に何とも言えない脱力感に襲われますが、今回もしっかり楽しませて情緒を破壊させていただいてよかったです。皆様も一緒に繭期にドボンしましょう。
(2022年1月17日追記)
ふと思ったのですが、そしてヴェラキッカだけの話ではないのですが、ヴァンプたち、人を幸せにしたいという気持ちも地獄のどん底に叩き落したいという気持ちもすべて「イニシアチブ」を使わないと形にすることができないんですね。愚かしいなと思いますが、まあ人間もヴァンプもそんなものかもしれないです。それだけです。